2008年08月18日

[本]コレラの時代の愛  G・ガルシア=マルケス

コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985))コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985))
木村 榮一

新潮社 2006-10-28
売り上げランキング : 11448
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


夫を不慮の事故で亡くしたばかりの女は72歳、彼女への思いを胸に独身を通してきた76歳の男から、突如、愛を告げられた。記憶と期待と不安が交錯する二人を乗せた蒸気貨客船が、コロンビアの大河を悠然とただよい始めた時――。内戦が疫病のように猖獗した時代を背景に、愛が愛であることの限界にまで挑んだ、かくも壮大な物語。
新潮社HP コレラの時代の愛より引用)


超傑作。コレラ(=死に至る病)とは、愛。多分、女性は好きだと思う。男性の反応は、分からない。何せ、手紙では愛を語り合ったけれども、ほとんど話もしたことがない少女を、「51年9ヶ月と4日」待ち続ける話なので。その後どうなるのかは、お楽しみですが。私は凄く好きです。『愛その他の悪霊について』の愛と呼べるのかどうか分からない、熱にうかされたような「愛」も大好きでしたが、こちらは、少女マンガ好きにもど真ん中でしょう。

それに、『百年の孤独』よりも、読みやすいのではないでしょうか。たぶん。主人公のフロレンティーノ・アリーサと、恋の相手フェルミーナ・ダーサの物語が、全編をつらぬいているし。また、それ以外の登場人物についても、感情の動きを丁寧にていねいに書いてあるので、少しだけ登場した人にさえも愛着を感じてしまう。しかも、エピソードはガルシア=マルケスらしく、エキセントリックなものが多くて、飽きさせないです。

そんなわけで、『百年の孤独』は時代の流れにのって、一気に読みたい本だったけど、この本はじっくりゆっくり読みすすめました。特に最後の30ページくらいは、終わってほしくなくて、かなりゆっくり読みました。

秋の夜長の、眠る前の読書におすすめです!

ただ、主人公フロレンティーノ・アリーサは、51年9ヶ月と4日待ち続けた、だけでなくいちいち相手の動向を見つめていたわけで、最強ストーカーで相当気持ち悪くもある主人公。この気持ち悪さは、パトリック・ジュースキントのこれまた傑作『香水〜ある人殺しの物語〜』(映画『パフューム』の原作)の主人公グルヌイユの気持ち悪さにも通じる。

ただ、グルヌイユは相手を殺すことでしか、その愛を全うできない(彼が愛せたのは香りだけだったから)けれども、フロレンティーノ・アリーサは、根っからのロマンチック人間。お堅い公文書を書こうにも、恋愛風の叙情的な文章になってしまって困るような人。フェルミーナ・ダーサと結ばれない間、彼女への愛の言葉がこぼれるように生まれてくるので、お昼間に仕事をしながら、夜は有能な「ラブレター代筆屋」すらしていたほど。

そこが、大きな違いでしょう。51年9ヶ月と4日の間、色々な性愛を繰り返してきながらも、最愛の人に(未読で興味がある人は、読まないで欲しい!→)「君のために童貞を守り通したんだよ」と言えるか否か。その違いは、この言葉を聞いたフェルミーナ・ダーサの反応に明らかです。女性は、この言葉にぐっとくると思う。もちろん、フロレンティーノ・アリーサは心情的には(同上!→)「童貞を守り通した」とも言えるからこそ、この言葉が生きるのですが。フェルミーノ・ダーサを(来るかも分からない)「いつか」幸せにするために、がむしゃらに仕事をして財産と地位を築くわけですから。

終わり方も、超ロマンチックで大好きです。

マルケスは、新潮社の「ガルシア=マルケス全小説」をシリーズ購入しようかな、と思います。

↓既読のもの
愛その他の悪霊について愛その他の悪霊について
旦 敬介

新潮社 2007-08
売り上げランキング : 97552
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))
Gabriel Garc´ia M´arquez 鼓 直

新潮社 2006-12
売り上げランキング : 1272
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


予告された殺人の記録 (Obras de Garc〓a M〓rquez (1976-1992))予告された殺人の記録 (Obras de Garc〓a M〓rquez (1976-1992))
G.ガルシア=マルケス

新潮社 2008-01
売り上げランキング : 78038
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


↓傑作。大好きです。においフェチ、嗅覚が敏感な人、香りが好きな人はみんな楽しめると思います。

香水―ある人殺しの物語香水―ある人殺しの物語
池内 紀

文藝春秋 1988-12
売り上げランキング : 277780
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


posted by sanoua at 12:20| Comment(0) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/105558817
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

『 コレラの時代の愛』 ガブリエル・ガルシア=マルケス (著)
Excerpt: 夫を不慮の事故で亡くしたばかりの女は72歳。彼女への思いを胸に、独身を守ってきたという男は76歳。ついにその夜、男は女に愛を告げた。困惑と不安、記憶と期待がさまざまに交錯する二人を乗せた蒸気船が、コロ..
Weblog: Anonymous-source
Tracked: 2009-03-02 16:26
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。